近年、企業のWebサイト開設やリニューアルで専門的な知識が必要なコーディング作業を外部に依頼するケースが増えています。しかし、数多く存在する代行サービスの中から、自社のニーズに合った1社を見つけるのは難しいことでしょう。そこで、今回はコーディング代行サービスを選ぶ際に確認すべき重要なポイントを紹介します。
そもそもコーディングとはどんな作業なの?
コーディングとは、Webサイトのデザインデータや構成案を、HTMLやCSS、JavaScriptといったプログラミング言語を使って、インターネットブラウザ上で正しく表示・動作するようにする作業のことです。コーディングによって、デザイナーが作成した画像やレイアウトが、Google ChromeやSafariなどのブラウザ、そしてパソコンやスマートフォン、タブレットといったさまざまなデバイス上で、意図した通りに再現されます。
文字や画像を配置するだけでなく、ボタンを押したときの動きやアニメーション、ユーザーが快適にサイトを閲覧できるようにするためのページの表示速度の最適化もコーディング担当者の重要な役割です。
Webサイト制作の最終工程であり、デザインの意図を汲み取り、機能性を付与する重要なプロセスであるといえるでしょう。Webサイトは、ユーザーが最初に触れる企業の顔であり、印象を左右する重要な役割を担っています。
コーディングの品質が低いと、表示が遅れたり、レイアウトが崩れたりして、ユーザーに不快感を与え、結果としてブランドイメージの低下にも繋がりかねません。
高品質なコーディングが施されたサイトを制作すれば、快適な操作感や美しいデザインの再現性によって、ユーザーのエンゲージメントを高め、ビジネスチャンスの拡大も期待できるでしょう。
企業の売り上げにも繋がるため、コーディング代行サービスを選ぶ際には、技術力やノウハウをしっかりと見極めることが大切です。
コーディング代行サービスを選ぶときの5つのポイント
コーディング代行サービスを選ぶ際、重要となるのが技術力と信頼性です。デザインの再現力
技術力と信頼性を確認するための1つめのポイントは、デザインを正確に再現する能力になります。提供したデザインデータが、どのような環境でも崩れることなく、細部に至るまで忠実に再現されるかどうかは、業者の技術力を測るうえで大切です。とくに、デザインと1ピクセルのずれも許容しない「パーフェクトピクセル」と呼ばれる高い再現性を要求できるかどうかで、サイトのクオリティが左右されるでしょう。
SEO実績
2つめのポイントは、SEO(検索エンジン最適化)やページの表示速度に関する知識と実績です。いくら見栄えの良いサイトであっても、検索エンジンに評価されなければ多くのユーザーに届かないでしょう。検索エンジンが読みやすく理解しやすい構造のコーディングができるか、また、CSSやJavaScriptの圧縮、画像の適切な形式での最適化など、表示速度を高速化させるためのノウハウを持っているかどうかが、サイトの成功に直結します。
制作事例・実績
3つめのポイントは、豊富な実績や具体的な制作事例の有無です。これまでの実績をホームページで公開しているか、どのような業種や規模のサイトを手がけてきたかを確認することで、自社のニーズに合致するかどうかを判断できます。また、顧客からの声や評価が掲載されている場合は、実際にサービスを利用した際の満足度を推し量るヒントになるでしょう。
料金体系
4つめのポイントは、料金体系の透明性です。初期費用やページ数ごとの費用だけでなく、WordPress導入やJavaScriptの実装など、オプションとなる費用がどこまで含まれているかを事前に確認することが大切です。見積もりが明確で、後から追加費用が発生するリスクが低い業者を選ぶことで、予算オーバーを回避できるでしょう。
サポート体制
5つめのポイントは、サポート体制の充実度です。プロジェクトごとに専任の担当者がいるか、メールだけでなく電話やチャットツールなど、複数の連絡手段に対応しているかなど、コミュニケーションの取りやすさがスムーズな制作進行には大切です。顔を合わせて打ち合わせができるかどうかも、複雑な要件を伝えるうえで大切な要素となる場合があるので、確認しておくといいでしょう。
コーディング代行サービス選びの注意点
コーディング代行サービスを選ぶ際には、注意すべき点がいくつかあります。とくに、ウェブサイトの完成度や完成後の運用を左右する見落としがちなポイントを事前に確認しておくことが大切です。過度な安さには要注意
まず、過度な安さに注意しましょう。コーディング作業は人の手によっておこなわれるため、極端に料金が安いサービスは、チェック体制が不十分であったり、品質が落ちていたりする可能性があります。価格だけで判断せず、提供されるサービスの品質、これまでの実績、評判を総合的に評価することが大切です。適正な価格を見極めるためにも、複数の業者から概算見積もりを取って比較することもおすすめです。
電話番号を公開している業者を選ぶのがおすすめ
次に、電話番号を公開していない会社にも注意しましょう。ウェブサイト制作のプロジェクトは、急なデザイン変更やスケジュール調整が必要になることがあります。メールやチャットだけの対応では、こうした緊急を要する事態に迅速に対応することが困難です。何か問題が発生した際にすぐ連絡が取れるよう、電話番号を公開し、対面や電話での打ち合わせにも対応している業者を選ぶと安心です。
納品後の保証期間
また、納品後の保証期間についても確認しておきましょう。納品後にバグや不具合が見つかることは珍しくありません。保証期間が設定されているサービスであれば、期間内に発生した問題に対して無料で修正を依頼できるため、安心して運用を開始できます。保証期間が長く設定されている会社は、自社の品質に自信を持っている証拠ともいえるでしょう。契約書やサービス内容に保証期間の有無や詳細が明記されているかを確認しましょう。納品後のサポート体制は、トラブルが起こってから初めて重要性を実感することも多いため、事前のチェックがおすすめです。
納品物の所有権
そして、納品物の所有権についても注意が必要です。納品されたウェブサイトのデータ一式、とくに「制作環境のファイル」の所有権が自分に移行されるかを確認しましょう。最近のコーディングでは、直接HTMLやCSSを記述するのではなく、より効率的に作業を進められる別のツールやフレームワークを使うことが主流になっています。
作業が完成すると「元ファイル(制作環境のファイル)」と最終的なHTML/CSSファイルという2種類のデータが生成されます。最終ファイルだけを渡された場合、後から自分たちで修正や更新をおこなうのが難しくなる場合があるのです。
後々、些細な修正をするために高額な費用を請求されるといったトラブルを避けるためにも、制作環境のファイルを含めた全てのデータの所有権が自身にあることを契約前に確認しておくことが大切です。